借金返済に伴う自己破産…そのメリット・デメリットとは

借金を繰り返し、いよいよ返済不能だと感じた時、最終的に下す決断の一つに、自己破産という方法がある。自己破産とは債務者が裁判所へ申し立てて成される債務整理の手続きの事である。この手続きが完了すると、抱えていた借金は返済せずに済むようになる。これだけを聞くと、じゃあ最初から自己破産するつもりで、返せないくらい借金を作ってもいいんじゃないかと考える人も出てくるだろう。自己破産とは、一見借金がチャラになって楽になり、良い事ばかりのように思える制度であるが、破産手続きをするための条件やその後の生活の制限など、決して自由とは思えないような暮らしが待っている。ではここで、具体的に自己破産をした場合のメリットとデメリットについて記してみよう。

まずメリットの一つには、先述したようにすべての支払い義務が免除されることが挙げられる。今まで抱えていた借金が、帳消しになるのだ。しかし、破産手続きの申し立てギリギリにクレジットカードで買物をしたりすると、自分が後々破産手続きをするという前提で、わざと購入をしたのではないかと疑われ審査が長引くので気を付けた方が良い。最近ではこの流れを悪用して、故意のカード使用による破産前の大量購入なども行われているという。

そして、手続き後はいかなる金融会社も差し押さえなどの強制執行ができなくなる。まともなところ以外から借金を作っていたような人は、今までの強制的かつ威圧的な搾取や嫌がらせを、もう受けないということになる。債権者にとってはこれが一番うれしいことかもしれない。そのかわり、換金できるようなものは全て差し押さえを受けて金融会社に渡っていくようになる。しかし実はこの差し押さえも身ぐるみをはがされるほどの、一文無しの状態になるわけではなく、例えば預金通帳も20万円以下の残高であれば手元において良いなどの、債権者の最低限の生活を守るようなラインは存在している。

ここまで聞くと良いことだらけのように思えるが、実際はこの手続きを完了するまでには最低2か月はかかる。申し立てをして受理されるまでの2か月の間、気が気ではない上に取り立てや催促の連絡は途絶えない。その間に「今破産申し立てをしている」なんて言おうものなら、手続き完了後には差し押さえが出来なくなるわけだから、借金取りからすると、今のうちに取り戻せる分だけでも戻したいという考えで、さらに激しく取り立てようとするに違いない。

また、手続き完了後も5年以上は借り入れができないようにブラックリストに載ってしまう。これは本人にとって結婚や出産育児などの将来設計にかなり支障をきたすだろう。さらに、免責決定を受けるまでの間も、破産手続きをしていることで就くことが出来ない職業も出てくる。要は、今後5年から10年間は、手持ちの現金を節約しながら細々と生活し、贅沢とは無縁な暮らしをしながらも周囲からは「借りたお金も返さずに楽して生活している」などと悪口を言われるような、寂しい未来が待っているということなのだ。

やはり自分のおかしてしまったことについては、自分で責任を持って償わなければいけないということである。

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